2013年7月8日

企業資料が直面する課題

 7月6日(土)の日本経済新聞 文化面(40頁)に、「企業の所蔵資料 散逸の危機」という記事が掲載されました。

 文化部の松岡資明編集委員によるもので、同氏は長年にわたり歴史資料の保存・活用に関する事例や課題を取材されているほか著書も多数あり、この分野では国内の第一人者です。

 記事では、企業が創業いらい利用・保存してきた膨大な資料が、企業買収・経営統合・倒産や廃業といった経営環境の急激な変化により行き場を失いかねない状況が差し迫っていることを報じています。
 また、かろうじて個人レベルの有志により支えられている事例を紹介し、受け入れ体制(場所、仕組みなど)の整備が急がれることもあわせて指摘されています。

 最後に、松岡様は記事をこう締めくくっています。
「資料は歴史研究や政策立案に不可欠な知的資源なのに粗雑に扱われる。【中略】デジタル化すれば紙の原本は不要との誤った認識も危機に拍車をかける。【中略】 英国やカナダなどでは公文書に加えて企業や個人の記録資料も社会が保存していく仕組みができており、資料は公共の資産と考えられている。」

 このような状況をすこしでも改善できるよう、私たちも微力ながら頑張っていこうと感じています。